グローバルに事業展開する医療機器部材メーカーが技術協業の戦略的パートナーを選定する際には、開発・製造・販売の各段階で互いを補完し合える候補を広範囲から抽出し、客観的な評価軸で優先順位を付けることが重要です。
提携目的別の分類(技術協業・販路共有・資本業務)
提携には目的に応じて様々な形態があります。
技術提携(技術協業):双方の技術・ノウハウを共有し新製品を共同開発する提携(共同研究等)。
販売提携(販路共有):お互いの販売チャネルを共有し市場を拡大する提携(製品の相互販売契約等)。
資本業務提携:資本参加による関係強化と業務協力を組み合わせた提携形態。
例えば、住友ベークライトと川澄化学工業の資本業務提携などの例があります。自社の提携目的に合った形態を選ぶことで、単独では得られない成果を創出できます。
評価軸(技術シナジー・規制対応力・海外展開力)
提携候補を比較評価する主な軸は以下の通りです:
技術シナジー – 相手の技術や製品が自社の弱みを補完し相乗効果を生む度合い。
規制対応力 – 医療機器の薬事承認や品質規格への対応ノウハウ(認証取得実績や専門人材の有無など)。
海外展開力 – グローバル市場への販路・ブランド提供の度合い。
加えて財務の安定性やビジョンの一致、企業文化の親和性なども考慮しましょう。総合的な評価軸でスコアリングすることで、最適なパートナー候補を絞り込めます。
事例:医療機器部材メーカーの技術提携
当社が実際に実施した戦略的提携候補選定の成果事例をご紹介します。
カテーテル向けの高機能樹脂チューブを製造する医療機器部材メーカーが、自社の独自技術を活かしてグローバル展開を進める中、新規開発案件において、自社にない高度な表面加工技術や薬剤徐放技術を持つパートナー企業との協業が必要となりました。しかし、適切な企業選定のためのノウハウや人的リソースが不足していました。
▷ 提携目的
提携目的は、明確に技術協業にフォーカスしました。具体的には、互いのコア技術を相互補完し、市場競争力の高い新製品開発を目指しました。
▷ 評価軸の設定
プロジェクトの初期段階で評価軸を明確に設定しました。特に重要視したのは以下の項目です。
技術シナジー:高機能樹脂チューブ技術との補完性
規制対応力:米国FDAや欧州CEマーク取得の経験
海外展開力:北米・欧州市場での販路や市場認知度
これらを中心に、各項目をスコア化し、客観的に比較評価しました。
▷ スクリーニングプロセスと短リスト化
当社独自のデータベースを活用して、世界の医療機器市場から広く候補企業を抽出しました。初期スクリーニングで60社を抽出後、設定した評価軸に基づき、上位10社を短リスト化しました。さらに詳細なデューデリジェンスを実施し、最終的に3社を候補としてクライアントに提示しました。
▷ 具体的成果物
詳細な候補企業評価レポート(評価軸ごとのスコアリング表)
デューデリジェンス簡易レポート(財務状況、知財状況、契約リスクなど)
交渉時のチェックリストと推奨交渉ポイント
▷導入効果
自社単独では難しかった高度な技術を持つ企業との提携を短期間で実現しました。その結果、競争力の高い新製品の開発期間が短縮され、市場参入時期を半年早めることができました。
クライアントからは、「自社リソースだけでは到底ここまで迅速かつ正確な候補選定は不可能だった。特に成果物のクオリティと具体性は社内外で高く評価された。成果報酬型のため初期投資リスクも低く、極めて費用対効果が高いサービスだと感じた」と、ご評価頂きました。
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